Linuxサーバから入札関連情報をバックアップ、その他に在宅勤務の成果をアップロード、と多目的に使っています。
Vol.34
株式会社 北海道建設新聞社北海道札幌市
常務取締役 制作局長 土尾 誠一 様
http://e-kensin.net/御社の会社の概要を教えて頂けますでしょうか。
昭和33年7月の創立になります。昨年に55年記念式典があり、今年は56年になります。社員は120名ほどおります。本社札幌の他に、支社や支局が12箇所あります。支局というのは記者だけでそれが4箇所、残り8箇所は営業、記者、総務、3つのカテゴリの仕事をしている人間がいて、函館など北海道内の主だった都市に支社を置いております。本社とその12箇所にいる記者からニュースが上がってきます。
御社で発行されている北海道建設新聞について教えて頂けますか?
弊社では輪転印刷機を5台持っておりまして、最大20ページまでの新聞を作れます。日刊紙ですが、一般紙と違いまして、仕事自体が月曜日から金曜日までの5日間ですので、新聞発行も1週間に5回となります。営業日の翌日が発行日になりますので、基本的には日、月が休刊という形になります。
やはり建設関連の記事の中身ということですか?
そうですね。基本的には建設と建設関連業界向けの記事ですけれども、その他に北海道内の経済の分野がかぶりますので、建設業界以外の方にもかなり購読して頂いています。1面はちょっと堅い建設行政に関する記事が多いんですが、中をめくりますと、道内の経済の動き、どこにどんな建物がたつとか、その前の段階の経済の動きですとか、そういったようなことも載せています。
主な読者層というのはどういった方達になりますか?
建設業者さん、それに関連して建設業者さんに資材を提供している会社さん、それと例えば銀行さんのようにそこに仕事があればお金を貸すということも発生しますし、同様に地方のホテルだとかもやっぱり関連して仕事が出てくる。何かものが建つ、あるいは道路を作る、そういう工事に関連していろいろそこから経済行為をされている方々皆さんが読者という形になります。そういう意味では、ほぼ法人のお客様ですね。
北海道以外の読者も多いのでしょうか?
道外のお客様も結構いらっしゃいます。特に震災以降は東北で建設関係の仕事量が多いですから、業者さんも今まで北海道に出先を置いていたところを引きあげて、出先のメインを東北に置き、そこから北海道の仕事の状況を見るのに新聞を取るといったこともあるようです。
最近の建設業界の動向というのはどんな感じでしょうか。
人手不足と資材不足というのが、動向としては大きいと思いますね。仕事はあるのに、人手不足や資材不足で仕事を受けられないという状況があります。
記者さんは、どういったところを取材で主に回られるのでしょうか。
記者が毎日ルーチンワークで行っているのが官公庁の入札情報の取材です。この時期になりますともうだいぶ少なくはなってきていますが、官公庁がこういう仕事をやりますというふうに告知しますので、それをまず網羅します。最盛期にはそういう記事だけで3~4ページにもなります。それに合わせて今度は実際に入札をした結果、どこがいくらでとりましたというのが結果公表になりまして、これも最盛期にはこれだけで4~5ページになったりします。
地域経済や地域情報などの記事もありますが、そちらはいつ取材されるのでしょうか?
うまく時間を調整して皆が協力し合って動いています。紙面では道東方面や道央、道北など、エリア毎に分けてページを作っていて、そこでいろいろな催しも掲載しています。
御社の56年という長い社歴の中で、コンピュータの社内での利用というのはどのように変わってきていますか?
一番画期的だったのはやはり、2000年から記者がコンピュータを使って記事を書くようになったということですね。コンピュータを導入する時は記者全員に一斉に導入しました。記者がパソコンで記事を書くということは、それをどうやって本社に送るかという仕組みと一緒に構築する必要がありましたので、それらも合わせてやりました。コンピュータ化されたことにより、最初は誤変換が気になりましたが、便利になった点はやはり送稿が速くなったということですね。その前はFAXを使っていた時代が長かったです。FAX自体もかなり画期的で、それ以前は翌日でよいものは手書きして鉄道便で送ったり、速報性が必要な入札情報などについては全部、電話送稿だったんです。電信で送るのと同じように、いろはの"い"とか、漢字の説明も全部電話でしゃべって、受けるほうも1日中、電話で受けてそれを紙に書いていたという大変な時代でした。
記事のデジタル化と同時期に、写真関係もデジタル化されたのですか?
その頃、デジタルカメラはあまり普及していなかったので、まだその時代はフィルムで写真を撮って、生フィルムを送るというようなことも続いていましたけども、徐々にデジタル化していきました。今では100%デジタル化しました。
2000年に新聞記者のほうはパソコンで記事を書くようになりましたが、その記事の受け取り側、つまり、新聞を作るシステムがまだ完全にデジタル化していませんでしたので、送稿された電子データを、いろいろ電子的に変換して、最終的には印画紙に出力して貼り付けるという作業をしてたんですよ。2003年には新聞を作るシステム自体も完全にデジタル化しまして、記者がパソコンで打ったものが電子データのまま、コンピュータ上で紙面を組めるようになりました。
そのような業務の中で暗号化オンラインストレージのVG-Syncを利用しようと思われたきっかけを教えて頂けますか。
少し話しが遡りますが、紙面データをPDFファイルにしたものをDVDに焼いて保存するということを以前からやっています。コンピュータで焼くDVDの場合、寿命がどれくらいあるのか、保存性という意味で不安を抱えております。それとそのDVDを本社に置いたのでは、もし本社が地震や火事などの災害に遭った時に、そういう過去の財産も一緒に消えてしまうということで、比較的、道内でも地震が少ない別のエリアの出先にそのDVDを保存しておりました。
そういった前史を経て、今さらDVDの時代ではないんじゃないか、外部のオンラインストレージを安価にお借りできて使えるという時代であれば、そういうところに保存するのもありかなと考えたのが、VG-Syncを利用しようとしたきっかけです。実はまだ紙面データのPDF保存についてはVG-Syncを本格的には使っていないのですが、いずれそういったデータ保存場所をVG-Syncに移行したいとも考えております。それと並行して、入札関係の情報というのは全てデータベースで管理してるのですが、これについても過去十数年のデータがあり、何かの形でとっておかなければならないかなと。過去のものに加え、リアルタイムに保存していないと、万が一、何かあった時に新聞が出せなくなってしまうということもありますので、こういったデータの保存先としてVG-Syncを使うことになりました。
現状のVG-Syncの利用目的はバックアップがメインでしょうか。
そうです。主なバックアップ対象データとしては入札関連の情報ですね。以前は手動で定期的にバックアップしていましたが、VG-Sync2になってからは自動で毎日、Linuxサーバから直接バックアップを行っています。
VG-Syncを使ってみた感想や、VG-Syncを採用する決め手になったこととかあれば教えて頂けますか。
最初は他の同様なサービスと比較していろいろとテストしていこうという意図もあったんですが、VG-Syncを使っていて不具合や不都合がなかったのでそのまま使わせてもらっています。データセンターの所在地が公開されていて、北海道から離れているのも、採用の決め手となりました。
VG-Sync2になってデータ転送スピードも使い勝手もよくなったのですが、その他の目的の利用はありますでしょうか?
有償版のほか、無償版のVG-Syncも使わせて頂いていて、そちらに関しては、在宅勤務用のファイル共有で今使わせて頂いています。在宅で仕事をした成果をVG-Syncオンラインストレージのほうにあげてもらって、本社でそこからダウンロードするという形ですね。
御社が会社として今、何か大きく取り組んでいることや、進めていることが何かありましたら少しご紹介頂けますか。
会社としてBCPに取り組もうとしているところです。専任の担当者がいまして、今、準備しているところですが、そことの整合性といいますか、BCPの一環として、改めてこのデータのバックアップというものを位置づけて、今以上に強化していきたいですね。バックアップに加えて、何かあった時にそれを活かしてどう復旧するかというのも課題です。3.11のような災害時に、例えば我々の場合でしたら印刷機が壊れたら新聞は出せないけど、ホームページなら作れるかもしれない。そういった時にとりあえず遠隔地に保存してあるバックアップデータを、平常時とは違う使い方をして何らかのサービスを継続するとか、いろんなことを考えていきたいなと思っています。